心疾患で就労が困難なときの障害年金|受給の基準と申請ポイント【すどう社労士事務所】

心不全や狭心症、心筋梗塞、不整脈などの心臓の病気は、見た目には症状の重さが分かりにくく、周囲から「疲れやすいだけ」「怠けている」と誤解されてしまうことも少なくありません。

動悸や息切れ、著しい倦怠感などにより「通勤がつらい」「以前のようにフルタイムで働けない」「休職を余儀なくされている」といった状態であれば、公的な支援である障害年金の対象となります。

心疾患での障害年金の等級判定基準(1〜3級)、ペースメーカー等の認定特例、就労制限と受給のポイントを障害年金専門の『すどう社労士事務所 須藤智(すどうさとし)』が徹底解説します。

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【結論】

心筋梗塞、狭心症、拡張型心筋症、不整脈、弁膜症などの心疾患は、障害年金の正当な支給対象です。

「心臓ペースメーカーや人工弁、ICDを装着した」「階段の昇降や少しの歩行で息切れ・動悸がして働けない」といった状態であれば、受給できる可能性が十分にあります。検査数値(EF値やBNP値など)だけでなく、実際の生活や就労における支障を正しく書類に反映させることが受給への重要な鍵となります。

この記事が向いている方

  • 心筋梗塞や狭心症、心筋症と診断され、今後の生活費や収入に不安を抱えている方
  • 心臓ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、人工弁を装着・置換された方
  • 階段の上り下りや少しの歩行でも息切れ・強い動悸が生じ、今まで通りの仕事ができない方
  • 心疾患の障害年金申請で必要となる診断書のポイントや検査基準(EF値・BNP値等)を知りたい方
  • 初診日の証明や病歴・就労状況等申立書の作成を専門家に任せたい埼玉県周辺の方

1. 心疾患でも障害年金は受け取れる?対象となる主な心臓疾患

「障害年金は手足の麻痺や視覚・聴覚の障害など、外見からわかる不自由さに対するもの」と思われがちですが、心臓などの内部疾患(内科的障害)も法律で定められた正当な支給対象です。

公的年金制度における心疾患の評価は、病名そのものだけでなく「心臓のポンプ機能が慢性的に低下し、日常生活や就労にどれほどの支障が生じているか(慢性心不全の状態)」を重視して総合的に判断されます。

1-1. 障害年金の対象となる主な心疾患

障害年金の対象として広く認められている心疾患には、以下のような病気があります。

  • 虚血性心疾患:心筋梗塞、狭心症など
  • 心筋疾患:拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症など
  • 弁膜疾患:大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症・閉鎖不全症など
  • 難治性不整脈:洞不全症候群、高度房室ブロック、心室頻拍、心房細動(心不全合併)など
  • 大動脈疾患:胸部・腹部大動脈解離、大動脈瘤など
  • 先天性心疾患:ファロー四徴症、心房中隔欠損症、アイゼンメンジャー症候群など
  • 重症心不全:人工心臓装着、心臓移植待機状態など

上記の疾患により、階段や坂道で息切れがする、足のむくみが取れない、立ちくらみや強い倦怠感で座り込んでしまうといった症状が続き、生活や仕事に制限がある場合は受給の対象となります。

2. 心疾患で障害年金を受給するための「3つの基本要件」

心疾患で障害年金を申請する際には、他の病気と同様に公的年金制度が定める3つの条件(要件)をすべてクリアしている必要があります。

要件①:初診日要件

心臓の異常で初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していることが条件です。健康診断で心電図異常を指摘されて再受診した日や、胸の違和感で初めてクリニックを受診した日が初診日となるケースが多く見られます。

要件②:保険料納付要件

初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの公的年金保険料が一定以上納付(または免除)されている必要があります。原則として加入期間の3分の2以上の納付、または直近1年間に未納がないことが求められます。

要件③:障害認定日要件

原則として初診日から1年6ヶ月が経過した日(障害認定日)において、障害等級基準に該当している必要があります。ただし心疾患の場合、ペースメーカーや人工弁の手術を行った日など「1年6ヶ月を待たずに特例として認定される日」が定められています。

3. 心疾患における障害等級(1級〜3級)の認定基準と目安

心疾患の等級審査では、自覚症状(胸痛・息切れ・動悸・倦怠感)、他覚所見(浮腫・チアノーゼなど)、客観的検査データ(心電図、心エコーのEF値、血中BNP値など)、および日常生活・労働の制限区分を組み合わせて総合判定されます。

障害等級 状態の目安(心疾患の場合) 対象となる公的年金
1級 病状が重篤で、安静時においても心不全症状(チアノーゼ・重度の呼吸困難等)があり、活動範囲がおおむねベッド周辺に限られる状態(NYHA心機能分類Ⅳ度相当) 障害基礎年金
障害厚生年金
2級 家庭内の極めて軽い活動はできるが、少しの歩行や軽作業で動悸・息切れが生じ、日常生活が著しい制限を受ける状態。CRT(両室ペーシング)装着者など 障害基礎年金
障害厚生年金
3級 一般的な労働に著しい制限がある状態。ペースメーカー・ICD(植込み型除細動器)・人工弁の装着者、人工血管挿入者(胸部大動脈解離等)など 障害厚生年金のみ

※初診日に「国民年金」に加入していた場合は1級または2級のみが対象となります。初診日に会社員・公務員として「厚生年金」に加入していた場合は、3級でも障害厚生年金の給付を受けることができます。

4. ペースメーカー・ICD・人工弁・人工血管装着時の認定ルール

心疾患の障害年金には、医療機器の装着や手術を行った場合に等級や障害認定日があらかじめ明確に定められている特例ルールが存在します。

4-1. 医療機器・人工物装着時の原則等級

  • 心臓ペースメーカー装着:原則として障害厚生年金「3級」に該当
  • 植込み型除細動器(ICD)装着:原則として障害厚生年金「3級」に該当
  • 人工弁置換(機械弁・生体弁):原則として障害厚生年金「3級」に該当
  • 心臓再同期医療機器(CRT / CRT-D)装着:原則として「2級」に該当
  • 胸部大動脈解離・大動脈瘤による人工血管挿入(ステントグラフト含む):原則として障害厚生年金「3級」に該当

4-2. 1年6ヶ月を待たずに申請できる「障害認定日の特例」

通常、障害年金は初診日から1年6ヶ月経過しなければ請求できません。しかし、上記のペースメーカー装着や人工弁置換手術などを受けた場合、「その手術・装着を行った日」が特例として障害認定日となります。

そのため、初診日から1年6ヶ月を経過していなくても、手術実施日以降すぐに年金の申請手続きを進めることが可能です(初診日に厚生年金へ加入していた場合、3級の対象となります)。

5. 【2026年度】心疾患で受け取れる障害年金の金額目安

受け取れる障害年金の金額は、初診日に加入していた年金種別(国民年金または厚生年金)、認定された等級、および生計を維持している配偶者やお子様の有無によって決まります。

5-1. 障害基礎年金(初診日に国民年金加入:自営業・無職・主婦など)

  • 1級:年額 1,059,125円(月額 約8.8万円)+ 子の加算振替
  • 2級:年額 847,300円(月額 約7.0万円)+ 子の加算振替

※国民年金には3級の制度がないため、ペースメーカー装着等で3級に相当する場合でも、障害基礎年金は受給対象外となります。

5-2. 障害厚生年金(初診日に厚生年金加入:会社員・公務員など)

障害厚生年金では、基礎年金に加えて現役時代の報酬額や加入期間に応じた「報酬比例の年金」が支給されます。

  • 1級:障害基礎年金1級 + 報酬比例の年金額(1.25倍)+ 配偶者加給年金
  • 2級:障害基礎年金2級 + 報酬比例の年金額 + 配偶者加給年金
  • 3級:報酬比例の年金額(※最低保障額:年額 635,500円)

※障害年金として支給される給付は法律上非課税所得となるため、所得税や住民税が引かれることはなく全額受給できます。

6. 仕事を続けながらでも心疾患で障害年金はもらえる?

「会社に復帰して働いているから、心疾患では障害年金をもらえないのではないか」とお悩みの方が非常に多くいらっしゃいます。しかし、心疾患においては就労中であっても受給できるケースが数多くあります。

6-1. 厚生年金3級は「労働に制限がある状態」が基準

ペースメーカーや人工弁を装着している場合、初診日が厚生年金であれば原則3級と認定されます。この場合、フルタイムで復帰して以前と同じ職場に勤務していても、受給資格が認められます。

6-2. 2級以上の審査で考慮される就労上の配慮

心筋症や重度の虚血性心疾患などで2級以上を目指す場合、たとえ勤務していても以下のような就労上の制約や実態があれば審査において十分考慮されます。

  • 重い荷物の運搬や階段移動を免除され、デスクワーク中心の業務に変更してもらっている
  • 体調に合わせて時短勤務、時差出勤、あるいは在宅勤務(テレワーク)を認めてもらっている
  • 動悸や胸の苦しみが生じた際に、いつでも休める休憩スペースが確保されている
  • 体調不良による突発的な遅刻・早退・欠勤が同僚や職場の理解によって許容されている

外見上は普通に働いているように見えても、「職場の特別な配慮があって初めて就労が成り立っている」という実情を医師の診断書や申立書に正しく反映させることが大切です。

7. 心疾患で障害年金を申請する5つの具体的ステップ

心疾患の申請は、病歴の整理や過去の病院のカルテ確認など、段階を踏んで着実に進める必要があります。

1

初診日の特定と受診状況等証明書の取得

心臓の異常で初めて診察を受けた医療機関を特定します。別のクリニックから大病院に紹介された場合、最初に受診したクリニックで「受診状況等証明書」を発行してもらいます。

2

保険料の納付記録を確認

年金事務所にて年金加入記録を照会し、初診日前日時点における保険料の納付要件を満たしているか確認します。

3

主治医へ専用診断書の作成を依頼

循環器疾患用の診断書様式を現在の主治医に作成してもらいます。手術の時期や内容、最新の検査結果(心電図、心エコー、BNP値など)の記載漏れがないよう依頼します。

4

病歴・就労状況等申立書を作成

発症から現在までの通院履歴、自覚症状の変化、日常生活の具体的な困りごとや仕事上の制限をご自身または代理人で詳しく書面にまとめます。

5

年金事務所へ書類一式を提出

必要書類(診断書、申立書、戸籍謄本、通帳コピーなど)をすべて整えて年金事務所に提出します。提出後、約3〜4ヶ月で決定通知が届きます。

8. 心疾患の障害年金申請で失敗しないための重要チェックポイント

心疾患の審査では、客観的な数値データと日常生活の制限度合いの整合性が厳しく精査されます。不備や食い違いがあると不支給の原因となるため、以下の点に注意が必要です。

診察時に日常生活の辛さを伝え切れていない

心疾患の患者様は「診察室では座っているため平気そうに見える」ことが多く、普段の歩行や入浴、家事での強い息切れ・動悸の辛さが主治医に正確に伝わっていないケースがあります。

初診日と手術日の取り違え

「手術を受けた大病院」を初診日と誤認して申請し、前医の存在が後から判明して納付要件の再確認や書類の取り直しになり、大幅に手続きが遅れるケースが多発しています。

検査数値と申立書の記載矛盾

診断書に記載された心機能検査結果(EF値や心電図異常など)と、申立書に記載した自覚症状や活動状況に食い違いがあると、日本年金機構の審査で返戻や認定の遅れを招きます。

9. すどう社労士事務所のサポート体制と実績

すどう社会保険労務士事務所では、狭心症・心筋梗塞・心筋症・弁膜症・不整脈など、心疾患を抱えるご相談者様の障害年金申請を全力でサポートしております。

すどう社労士事務所の強み

  • 地域密着型の専門体制:越谷市・春日部市・草加市・さいたま市・川口市を中心に、埼玉県全域で豊富なサポート実績がございます(JR南越谷駅・東武スカイツリーライン新越谷駅から徒歩3分)。
  • 年間相談件数250件超えの実績:心疾患特有の検査数値の確認や、初診日の証明が難しい過去の手術歴がある案件にも的確に対応いたします。
  • 話しやすい女性相談員が在籍:療養中で体調が優れない方や外出が難しい方にも配慮し、親身に丁寧にお話をお伺いします。ご家族様からのご相談も歓迎しております。
  • 明確で安心なサポート料金:着手金や相談料の不安を軽減し、どなたでも安心してご相談いただける明瞭な料金体系を整えています。

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事務所のシンボルであるミモザの由来はこちらでご紹介しています。

10. よくある質問

Q1. ペースメーカーを入れたら必ず障害年金を受給できますか?
A. 初診日に厚生年金に加入しており、保険料納付要件を満たしていれば、原則として障害厚生年金3級を受給できます。ただし、初診日に国民年金に加入していた場合は、3級の給付がないため受給できません。初診日の年金加入状況の確認が不可欠です。
Q2. 心筋梗塞でステント治療を受けましたが、障害年金の対象になりますか?
A. カテーテル治療(ステント留置等)を受けたこと自体では自動的に認定される規定はありません。しかし、術後も重い心機能障害が残っている場合や、息切れ・胸痛で日常生活や労働に著しい制限がある場合は受給の可能性があります。
Q3. 心疾患で障害年金をもらうと、会社に知られて解雇されたりしませんか?
A. 日本年金機構から勤務先へ障害年金の受給事実が通知されることは原則ありません。また、法律上も障害年金の受給を理由とした不当な解雇は認められておりませんのでご安心ください。
Q4. 障害者手帳(身体障害者手帳)を持っていなくても申請できますか?
A. はい、申請可能です。身体障害者手帳と公的障害年金は管轄も根拠法令も全く別の制度です。手帳の交付を受けていない方でも、年金の認定基準を満たしていれば障害年金を受給できます。
Q5. 過去に遡って心疾患の障害年金を受け取ることはできますか?
A. ペースメーカー装着時や認定日時点で障害等級の要件を満たしていたことが過去のカルテや診断書で証明できれば、法律上の時効にかからない直近5年分を遡って一括受給(遡及請求)できる可能性があります。
Q6. 傷病手当金をもらっている最中ですが、同時に申請できますか?
A. 申請自体は可能です。ただし同一の疾患で傷病手当金と障害厚生年金を同時に受給する場合、併給調整が行われます。差額の調整や受給スケジュールについて事前に社労士へご相談いただくことをおすすめします。
Q7. 心臓の手術をした病院が数年前で閉院している場合はどうすればいいですか?
A. 当時の診察券、お薬手帳、紹介状の控え、医療費控除の確定申告書類など、複数の客観的記録を積み重ねることで初診日を立証できる場合があります。あきらめずにご相談ください。

11. まとめ

心疾患による障害年金のポイントを振り返ります。

  • 狭心症・心筋梗塞・心筋症・弁膜症など、幅広い心疾患が障害年金の支給対象となる
  • ペースメーカーやICD装着、人工弁置換は原則として障害厚生年金3級、CRT装着は2級が目安となる
  • ペースメーカー等の装着は「手術日」が障害認定日の特例となり、1年6ヶ月を待たずに申請可能
  • 仕事復帰後であっても、職場の配慮内容や生活の制限度合いによって受給できる可能性がある
  • 客観的検査データ(心電図、EF値、BNP値等)と生活実態を整合性高く書類にまとめることが重要

ご相談について

心臓の病気を抱えながらの日々は、少し動くだけでも息切れや動悸が生じ、身体的にも精神的にも大きな負担がかかります。その療養のさなかに、年金事務所への度重なる相談や医療機関への書類手配、複雑な申立書の作成をご自身だけで行うのは大変なご苦労が伴います。

「ペースメーカーを入れたが対象になるか」「検査数値がどう評価されるかわからない」など、どのようなことでも構いません。すどう社労士事務所では、ご相談者様のお体の状態に最大限配慮しながら、個別の状況に応じた最適な進め方をご案内しております。ご家族様からのご相談も心より歓迎しております。

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監修者

須藤 智
社会保険労務士 / すどう社労士事務所 代表

障害年金専門社労士として、越谷・春日部・草加市・さいたま市・川口市を中心に、埼玉県全域に対応している。年間250件超えのご相談を受けている。うつ病・がん・脳血管障害・心疾患など、幅広い傷病の障害年金申請をサポート。

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