潰瘍性大腸炎(指定難病人数1位)と障害年金【すどう社労士事務所】
潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis: UC)は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、ただれ(びらん)や潰瘍ができる原因不明の炎症性腸疾患(IBD)です。
厚生労働省の受給者証所持者数に基づく「指定難病」の中で最も患者数が多い疾患であり、国内には約20万人以上の患者さんがいるとされています。
亡くなられた安倍晋三元首相が10代の頃に罹患して生涯にわたってこの病気と向き合っていらしたことでご存知の方も多いことと思います。
潰瘍性大腸炎が原因で障害年金の受給が可能か?障害年金専門の『すどう社労士事務所 須藤智(すどうさとし)』が解説いたします。
1.信頼と安心と笑顔をお届けします。
2.お一人おひとりに合った最善をサポートします。
3.心と身体に寄り添い丁寧に対応いたします。

難病指定されている潰瘍性大腸炎は、重症度や日常生活・就労への支障の程度、または手術による人工肛門(ストーマ)の造設などにより、障害年金(1級〜3級)を受給できる可能性があります。
「指定難病の医療費助成を受けているから年金も自動的にもらえる」「内臓の病気では受給が難しい」と思われがちですが、年金の審査は全く別の基準で行われます。
適切な検査データや日常生活の制約、就労困難の実態を診断書や申立書に正しく反映させることが受給への大きな鍵となります。
この記事が向いている方
- 潰瘍性大腸炎による頻回の便意・下痢・血便・激しい腹痛で、通常の勤務が難しく生活費に不安を抱えている方
- 病状の再燃と寛解を繰り返し、欠勤や休職が続いていて将来の生活に不安を感じている方
- 大腸全摘手術を受け、人工肛門(ストーマ)を造設された方
- 指定難病の受給者証は持っているが、障害年金も受け取れるのか知りたい方
- 初診日が数年以上前で、カルテが残っているか分からない・証明方法が分からず困っている方
- 埼玉県(越谷市・春日部市・草加市・さいたま市・川口市周辺)で内臓疾患に強い社労士を探している方
この記事の目次
1. 潰瘍性大腸炎の主な症状と生活・就労への影響
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が生じる原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、国の指定難病の中で最も患者数が多い疾患です。20代〜30代の若年層から高齢者まで幅広い年齢で発症します。
病状が落ち着く「寛解(かんかい)期」と悪化する「再燃期」を繰り返す特徴があり、日常生活や仕事に以下のような深刻な影響を及ぼします。
- 頻回の便意と下痢:1日に10回以上トイレに駆け込む状態が続き、長時間の通勤電車や会議、外出を伴う業務が極めて困難になる。
- 血便・激しい腹痛・しぶり腹:激しい下腹部痛や「便意があるのに出ない」という感覚が続き、体力や精神力を激しく消耗する。
- 全身倦怠感・貧血・発熱:慢性的な出血や栄養吸収障害により、常に重い倦怠感やふらつきを抱え、デスクワークであっても長時間の継続が困難となる。
- 薬の副作用や心理的ストレス:ステロイド薬の長期服用による副作用(易感染性、骨粗鬆症、精神的不安定など)や、トイレへの不安からくる外出恐怖・うつ状態の併発。
外見からは病気の辛さが分かりにくいため、職場や周囲に理解されにくく、やむを得ず休職や退職、非正規雇用への転換を余儀なくされるケースが後を絶ちません。
2. 指定難病医療費助成と「障害年金」の違いとは?
潰瘍性大腸炎と診断されると、多くの方が保健所に申請して「特定医療費(指定難病)受給者証」を取得されます。
しかし、難病医療費助成と障害年金は管轄も目的も全く異なる制度です。
| 比較項目 | 指定難病医療費助成制度 | 公的障害年金制度 |
|---|---|---|
| 目的 | 医療費の自己負担を軽減すること | 病気やケガに伴う生活費・所得の減少を保障すること |
| 管轄窓口 | 都道府県(各市区町村の保健所窓口) | 日本年金機構(各年金事務所または市区町村窓口) |
| 審査基準 | 国が定める難病ごとの医学的重症度基準 | 日常生活能力や就労への制限度合い(障害等級基準) |
| 受給内容 | 医療費自己負担の軽減(原則2割・所得別上限) | 現金給付(年金受給口座へ年6回定期振込) |
「難病受給者証を持っている=障害年金が必ず受給できる」
わけではありませんが、難病によって仕事や日常生活が著しく制限されている場合、障害年金を併せて受給することで経済的基盤を強固に築くことができます。
3. 潰瘍性大腸炎における障害年金の認定基準(その他障害・腹部疾患)
潰瘍性大腸炎の手術を行っていない場合(内科的治療を継続している場合)、障害年金は「その他疾患による障害(腹部臓器・消化器疾患)」の認定基準に準じて総合判断されます。
| 障害等級 | 状態の目安(内科的治療継続の場合) | 対象年金 |
|---|---|---|
| 1級 | 高度の全身衰弱、持続的な激しい下痢・出血・低栄養等により、常時寝たきりで他人の介助がなければ日常生活が営めない状態 | 障害基礎年金 障害厚生年金 |
| 2級 | 頻回の排便や激しい下痢、重度の貧血や全身衰弱が続き、家庭内での極めて軽微な活動しかできず、自立した生活や就労が困難な状態 | 障害基礎年金 障害厚生年金 |
| 3級 | 慢性的な下痢・腹痛・貧血等により、労働が著しい制限を受けるか、または職場で手厚い配慮や制限を必要とする状態 | 障害厚生年金のみ |
診断書には、内視鏡検査の所見、ヘモグロビン値やアルブミン値(低栄養状態を示す指標)、体重減少率、1日の下痢・排便回数、服薬状況などが客観的に記載されている必要があります。
4. 人工肛門(ストーマ)を造設した場合の認定基準と障害認定日特例
潰瘍性大腸炎が重症化し、大腸全摘術等に伴って腹部に人工肛門(ストーマ)を造設した場合は、明確な基準が定められており受給の可能性が大幅に高まります。
ストーマ造設時の等級基準
- 原則3級:人工肛門を造設した場合、原則として「障害厚生年金3級」に認定されます。
- 2級以上に認定されるケース:人工肛門造設に加え、新膀胱や尿路変更術(ダブルストーマ)を行っている場合、あるいは自力排泄の管理が著しく困難で日常生活に重い制限が残る場合は、上位等級(2級以上)に認定される可能性があります。
障害認定日の特例(6ヶ月特例)
障害年金は通常、初診日から「1年6ヶ月」待たなければ請求できません。
しかし、人工肛門(ストーマ)を造設した場合は、「造設した日から起算して6ヶ月を経過した日」が障害認定日となります。
初診日から1年6ヶ月経過していなくても前倒しで請求が可能です。
(ただし、造設後6ヶ月の日が初診日から1年6ヶ月を超える場合は、1年6ヶ月経過時点となります)
5. 障害年金を受給するための「3つの基本要件」
潰瘍性大腸炎で障害年金を申請する際も、公的年金制度が定める「3つの基本要件」をすべて満たすことが必須となります。
要件①:初診日要件
下痢や血便、激しい腹痛などの自覚症状で初めて病院を受診した日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入している必要があります。
初診時の加入制度により受給できる年金種別が決まります。
要件②:保険料納付要件
初診日の前日において、初診日の前々月までの加入期間のうち「3分の2以上」の保険料が納付または免除されている必要があります(直近1年間に未納がない特例措置あり)。
要件③:障害認定日要件
初診日から1年6ヶ月を経過した日(またはストーマ造設後6ヶ月経過日)において、所定の障害等級に該当している必要があります(後に悪化した場合は「事後重症請求」が可能)。
6. 【2026年度】潰瘍性大腸炎で受け取れる障害年金の金額目安
受給額は初診日に加入していた年金制度(国民年金か厚生年金か)、等級、配偶者や子どもの有無によって決定されます。
6-1. 障害基礎年金(初診日に国民年金加入:自営業・学生・無職など)
- 1級:年額 1,059,125円(月額 約88,200円)+ 子の加算
- 2級:年額 847,300円(月額 約70,600円)+ 子の加算
※国民年金加入の場合、3級の制度はありません。
6-2. 障害厚生年金(初診日に厚生年金加入:会社員・公務員)
初診日に厚生年金に加入していた場合、1級・2級は障害基礎年金に加えて現役時代の報酬に応じた年金が支給され、3級の保障も設けられています。
- 1級:障害基礎年金1級 + 報酬比例の年金額(1.25倍)+ 配偶者加給年金
- 2級:障害基礎年金2級 + 報酬比例の年金額 + 配偶者加給年金
- 3級:報酬比例の年金額(最低保障額:年額 635,500円)
※公的な障害年金は全額非課税です。
税金が差し引かれることなく全額を療養費や生活費に充てることができます。
7. 働きながらでも潰瘍性大腸炎で障害年金は受け取れるのか
「仕事をしていると障害年金は不支給になるのではないか」という不安の声を多くいただきます。しかし、「働いている=即不支給」ではありません。
審査で重視される就労実態と職場の配慮
人工肛門を造設された方はもちろん、内科的治療を継続している方であっても、以下のような就労上の制約や配慮の実情があれば受給が認められる可能性は十分にあります。
- トイレにすぐ行けるよう、出入り口付近のデスクへの配置転換や休憩時間の自由設定など、職場から特別な配慮を受けている
- 再燃期の体調悪化による急な欠勤・遅刻・早退が頻繁に発生している
- 重い荷物の運搬や長時間の立ち仕事、出張・外回りを免除され、軽作業に限定して勤務している
- フルタイム勤務が体力的に持たず、パート勤務や短時間勤務に日数を減らして働いている
表面的な就労事実だけでなく、職場で受けている配慮や勤務実態を主治医に共有し、診断書や申立書に具体的に反映させることがポイントです。
8. 潰瘍性大腸炎の障害年金申請で失敗しないための重要ポイント
潰瘍性大腸炎の申請手続きをスムーズに進め、不支給を防ぐためには以下の実務ポイントを押さえておく必要があります。
初診日の特定(カルテ廃棄に注意)
潰瘍性大腸炎は確定診断を受ける数年前から、近所の内科や消化器科で「過敏性腸症候群」「痔」「感染性腸炎」などと診断されて受診しているケースが多々あります。
その最初の受診日が初診日となるため、カルテの保存状況を含め早期の調査が不可欠です。
日常生活・労働能力の記載
医師は普段の日常生活や職場でのトイレ事情を直接見ているわけではありません。
「1日に何回トイレに行くか」「漏出や皮膚トラブルへの不安」「重い疲労感で休日は寝たきり」など、診察室の外での困難さをメモにして主治医に伝えることが重要です。
適切な診断書様式の選定
ストーマ造設や消化器系疾患の場合は「肢体・体幹・内部障害用(様式第120号の3または消化器用)」を使用します。
合併症(うつ病など)を併発している場合は、精神用診断書との複数提出(併合認定)を検討する場合もあります。
9. すどう社労士事務所のサポート体制と実績
すどう社会保険労務士事務所 障害年金専門サポート ミモザでは、潰瘍性大腸炎やクローン病などの難病・内部疾患をはじめ、がん、精神疾患など幅広い障害年金申請を専門にサポートしております。
すどう社労士事務所の強み
- 地域密着の専門窓口:越谷市・春日部市・草加市・さいたま市・川口市を中心に埼玉県全域に対応。南越谷駅・新越谷駅から徒歩圏内でアクセスも良好です。
- 年間250件超のご相談実績:初診日が古くカルテがない事案や、内科的治療継続中での受給申請など、内部疾患特有のノウハウをもとに的確にサポートします。
- 女性職員も在籍:デリケートな排泄のお悩みや体調の不安にも親身に寄り添い、丁寧にお伺いします。ご本人様はもちろん、ご家族様からのご相談も大歓迎です。
- 安心の報酬後払い制:着手金や相談料を気にせず、年金の受給が決定した後に報酬をいただく体系を採用しています。
すどう社労士事務所の受給事例はこちらからご確認いただけます。
「ミモザ」に込めた想いについては、ミモザの由来をご覧ください。
10. よくある質問
Q1. 難病医療費受給者証を持っていれば、自動的に障害年金ももらえますか?
難病医療費助成と公的障害年金は根拠法令も審査基準も異なる独立した制度です。障害年金を受け取るためには、別途年金事務所へ申請手続きを行う必要があります。
Q2. 人工肛門(ストーマ)を造設していなくても、受給できる可能性はありますか?
頻回な下痢や激しい腹痛、重度の貧血や全身衰弱、栄養状態の悪化などにより、就労や日常生活に著しい制限が生じている場合は、内科的治療中であっても受給できる可能性があります。
Q3. 初診日が10年以上前で最初のクリニックが廃院しています。どうすればいいですか?
お薬手帳、当時の診察券、紹介状、特定医療費受給者証の申請時の控え、健康診断の記録などを集めることで初診日を特定・証明できる場合があります。
Q4. 休職中に健康保険から傷病手当金をもらっていますが、障害年金と併給できますか?
障害厚生年金の日額が傷病手当金より少ない場合は差額が支給され、年金額の方が多い場合は傷病手当金が支給停止となります(※障害基礎年金のみの場合は調整されず両方満額受け取れます)。
Q5. 障害年金を受給していることが勤務先に知られてしまう心配はありますか?
個人情報は厳格に保護されています。
Q6. 過去の分に遡って年金をまとめて受け取る(遡及請求)ことは可能ですか?
Q7. 社労士に相談・代行を依頼するメリットは何ですか?
また、医師に生活実態を的確に伝えるための整理や、診断書と整合性の取れた申立書の作成により、適切な等級での受給可能性を高めることができます。
11. まとめ
潰瘍性大腸炎における障害年金申請のポイントを整理すると、以下の通りです。
- 潰瘍性大腸炎は指定難病であり、重症度や生活・就労の制限度合いによって障害年金の受給対象となる
- 人工肛門(ストーマ)を造設した場合は原則3級(状態により上位等級)の対象となり、造設後6ヶ月での特例請求が可能
- 初診日要件・保険料納付要件・障害認定日要件の3要件を満たすことが必須
- 職場で配慮を受けている場合など、仕事を続けながらでも受給できる可能性がある
- 初診日の特定や、検査数値・日常生活の困難さを主治医に正しく伝え診断書に反映させることが最重要
頻回の腹痛や倦怠感に苦しみながら、ご自身だけで複雑な年金手続きを進めるのは大変な負担となります。お悩みの方は、ぜひ専門家への相談をご検討ください。
ご相談について
潰瘍性大腸炎の療養中は、度重なる下痢や腹痛、倦怠感で体力が著しく低下しており、遠方の病院記録を集めたり、複雑な年金申請書類を作成したりすることは大きな心身の負担となります。
「自分の病状で受給できるのか」「初診日が分からない」「働いているけれど申請できるのか」といった疑問やお悩みは、どうぞお一人で抱え込まず専門家へご相談ください。
すどう社労士事務所では、ご相談者様のお気持ちや体調に十分配慮しながら、状況に合わせた具体的な進め方をご案内いたします。
ご家族からのご相談も歓迎しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
無料相談のご予約方法
すどう社労士事務所
お電話・LINE・メールよりご都合の良い方法でお問い合わせください。
監修者
障害年金専門社労士として、越谷・春日部・草加市・さいたま市・川口市を中心に、埼玉県全域に対応している。年間250件超えのご相談を受けている。
うつ病・がん・脳血管障害・心疾患・潰瘍性大腸炎等の内部障害など、幅広い傷病の障害年金申請をサポート。
投稿者プロフィール

最新の投稿
- 11月 3, 2026コラム知的障害の障害年金と初診日の証明方法【すどう社労士事務所】
- 11月 2, 2026コラム白血病等の血液疾患と障害年金受給【すどう社労士事務所】
- 11月 2, 2026コラム障害年金2級以上で保険料は法定免除?損得と注意点【すどう社労士事務所】
- 11月 2, 2026コラムペースメーカー装着者の障害年金|初診日の考え方【すどう社労士事務所】

初めての方へ
