脳梗塞後の失語症で障害年金を受給する条件【社労士が解説】
脳梗塞の後遺症である「失語症」で障害年金を受給するための条件や基準を、障害年金専門のすどう社労士事務所 須藤智(すどうさとし)』が分かりやすく解説します。
「話す・聞く・読む・書く」ことに支障があり、仕事や日常生活でお困りの方は障害年金の対象になる可能性があります。
申請のポイントや働きながら受給できるかなど、よくある疑問もまとめました。
脳梗塞の後遺症である「失語症」は、障害年金の支給対象となります。
「手足の麻痺など、身体的な障害がなければ対象にならないのでは」と思い込まれがちですが、「言葉がうまく出ない」「相手の言っていることが理解できない」といった音声・言語機能の障害によって、仕事や日常生活に著しい制限が生じている場合は、一定の要件を満たすことで障害年金を受給できます。適切な準備と書類作成を行うことが、受給への大きな一歩となります。
この記事が向いている方
- 脳梗塞の後遺症で失語症になり、今後の生活費や治療費に不安を感じている方
- 失語症が原因で元の仕事に復帰できず、休職中または退職を余儀なくされた方
- 「話す・聞く・読む・書く」ことに支障があり、日常生活での意思疎通が難しい方
- 失語症で障害年金がもらえる条件や、等級の認定基準を具体的に知りたい方
- ご家族の障害年金申請手続きを、障害年金専門の社労士に任せたいと考えている方
この記事の目次
- 脳梗塞後の失語症は障害年金の対象になる?
- 失語症で障害年金を受給するための「3つの基本要件」
- 失語症における障害等級(1級〜3級)の基準
- 【2026年度】失語症で受け取れる障害年金の金額目安
- 働きながら・リハビリ中でも失語症で障害年金は受け取れる?
- 脳梗塞による失語症の障害年金申請を進める5つの手順
- 失語症の障害年金申請で失敗しないための注意点
- すどう社労士事務所のサポート体制と実績
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
1. 脳梗塞後の失語症は障害年金の対象になる?
「障害年金」と聞くと、車椅子を利用されている方や視覚・聴覚に障害がある方のための制度と思われがちですが、脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)の後遺症として現れる「失語症」も明確な支給対象となっています。
失語症とは、脳の言語中枢がダメージを受けることで、「話す」「聞く(理解する)」「読む」「書く」といった言語機能全般に障害が生じる状態です。
外見からは分かりづらい障害ですが、コミュニケーションが困難になるため、仕事や日常生活において著しい制限を受けることになります。
1-1. 失語症の種類と障害年金の考え方
失語症には、自分が言いたい言葉がうまく出てこない「運動性失語(ブローカ失語)」や、相手の言っている言葉の意味が理解できなくなる「感覚性失語(ウェルニッケ失語)」など、様々な種類があります。
障害年金の審査においては、どの種類の失語症であるかという病名よりも、「その失語症によって、実際の日常生活や労働においてどれだけ支障が出ているか」が重視されます。
2. 失語症で障害年金を受給するための「3つの基本要件」
失語症で障害年金を受給するためには、公的年金制度が定める以下の3つの基本要件をすべて満たす必要があります。
要件①:初診日要件
失語症の原因となった病気(脳梗塞など)で、初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していることが条件です。脳梗塞の場合は、救急搬送されて初めて受診した日が初診日となるケースがほとんどです。
要件②:保険料納付要件
初診日の前日時点において、一定以上の年金保険料を納めている(または免除手続きをしている)必要があります。
未納期間が多いと、症状が重くても対象外となってしまうため注意が必要です。
要件③:障害認定日要件
原則として、初診日から1年6ヶ月経過した日(障害認定日)において、法令で定められた障害等級に該当する状態である必要があります。
ただし、脳血管疾患による失語症の場合、「初診日から6ヶ月経過した日以後に、医学的に症状が固定したと認められた日」を障害認定日として前倒しできる特例があります。
3. 失語症における障害等級(1級〜3級)の基準
失語症の障害年金審査では、「音声又は言語機能の障害」として認定が行われます。「家族との会話はできるか」「他人とのコミュニケーションがどの程度可能か」が判定の軸となります。
| 障害等級 | 状態の目安(失語症の場合) | 対象となる年金 |
|---|---|---|
| 2級 | 「音声又は言語機能に著しい障害を有するもの」。 家族などの親しい人との日常会話はできても、それ以外のコミュニケーションが著しく困難な状態。 |
障害基礎年金 障害厚生年金 |
| 3級 | 「言語機能に相当程度の障害を残すもの」。 日常会話が互いの推測でやっと通じるなど、労働に著しい制限を受ける状態。 |
障害厚生年金のみ |
| 障害手当金 | 「言語機能に障害を残すもの」。 労働が制限を受けるか、労働に制限を加えることを必要とする状態(一時金)。 |
障害厚生年金のみ |
※失語症のみで「1級(他人の援助を受けなければ日常生活がほとんどできない状態)」に認定されるケースは稀ですが、脳梗塞による「手足の麻痺(肢体の障害)」や「高次脳機能障害」を併発している場合は、それらを併せて審査(併合認定)されることで上位等級となる可能性があります。
4. 【2026年度】失語症で受け取れる障害年金の金額目安
障害年金の給付額は、初診日に加入していた年金の種類(国民年金か厚生年金か)、認定された障害等級、およびご家族(配偶者や子)の有無によって異なります。
4-1. 障害基礎年金(初診日に国民年金加入)
-
- 1級:年額 1,059,125円(月額 約8.8万円)+ 子の加算
-
- 2級:年額 847,300円(月額 約7.0万円)+ 子の加算
4-2. 障害厚生年金(初診日に厚生年金加入)
初診日に会社員などで厚生年金に加入していた場合、障害基礎年金に加えて「報酬比例の年金」が上乗せされます。
-
- 1級:障害基礎年金1級 + 報酬比例の額(1.25倍)+ 配偶者加給年金
-
- 2級:障害基礎年金2級 + 報酬比例の額 + 配偶者加給年金
-
- 3級:報酬比例の額(最低保障額:年額 635,500円)
障害年金は原則として非課税であるため、所得税や住民税が引かれずにそのまま生活費やリハビリ費用にあてることができます。
5. 働きながら・リハビリ中でも失語症で障害年金は受け取れる?
「仕事に復帰して給料をもらっていると、障害年金は受給できないのではないか」と心配される方がいらっしゃいますが、一概にそうとは言い切れません。
5-1. 働いていても受給判定に配慮されるケース
失語症を抱えながら勤務している場合でも、以下のような「労働環境での配慮」や「実情」が診断書や申立書で明確になっていれば、受給が認められる可能性は十分にあります。
-
- 障害者雇用枠で採用され、電話応対の免除やコミュニケーションのサポートを受けている
-
- 同僚や上司の理解があり、文字盤の利用やメール中心のやり取りなど、業務指示の方法に配慮がある
-
- 以前の部署での業務継続が困難になり、人と関わらない単純作業の部署へ配置転換された
- 勤務後は疲弊しきってしまい、休日は休息をとるだけで精一杯である
単に「給与を得ている」という事実だけで不支給になるわけではありません。就労においてどのような困難があり、どのようなサポートを受けてようやく働けているのかという実情を客観的に証明することが大切です。
6. 脳梗塞による失語症の障害年金申請を進める5つの手順
失語症の場合、ご自身で電話での問い合わせや書類の記入を行うことが困難なケースが多いため、ご家族のサポートや専門家の介入が非常に重要になります。
初診日の確認・特定
脳梗塞を発症し、初めて受診した病院(救急搬送先など)を特定し、日付を確認します。
受診状況等証明書の取得
初診時の医療機関にて「初診日」を証明するための証明書を発行してもらいます。(現在も同じ病院に通院している場合は不要です)
診断書の作成依頼(主治医へ)
現在の主治医に障害年金用(音声・言語・そしゃく・嚥下機能の障害用)の診断書作成を依頼します。失語症の場合、言語聴覚士(ST)が実施する「標準失語症検査(SLTA)」などの検査結果を添付することが重要です。
病歴・就労状況等申立書の作成
発症から現在までの経過や、日常生活におけるコミュニケーションの困難さを書面(申立書)にまとめます。ご家族からの視点を交えて具体的に記載することがポイントです。
年金事務所へ提出・審査
すべての必要書類を揃えて年金事務所へ提出し、審査結果を待ちます(結果が出るまで通常約3〜4ヶ月かかります)。
7. 失語症の障害年金申請で失敗しないための注意点
失語症の申請においては、医師による診断書の内容と、日常生活の実態にズレが生じないよう注意が必要です。
診察時にコミュニケーションの困難さが伝わっていない
普段の診察では「はい」「いいえ」といった簡単なやり取りで済んでしまうことが多く、主治医が「問題なく会話できている」と誤認してしまうケースがあります。複雑な会話ができない実態をしっかり伝える必要があります。
複数の障害の漏れ(併合認定の機会損失)
脳梗塞の場合、失語症だけでなく「右半身の麻痺」や「記憶障害(高次脳機能障害)」などを併発していることが少なくありません。言語の診断書だけを提出してしまうと、本来認定されるべき上位等級を逃してしまう可能性があります。
診断書と申立書の内容の矛盾
主治医が書いた診断書と、ご家族などが書いた病歴申立書の内容に食い違いがあると、審査において不利になる原因となります。提出前に整合性を確認することが不可欠です。
8. すどう社労士事務所のサポート体制と実績
すどう社会保険労務士事務所では、脳血管障害による失語症や高次脳機能障害、肢体の麻痺など、幅広い傷病での障害年金申請を専門にサポートしております。
失語症でお悩みのご本人様・ご家族様に寄り添い、複雑な手続きを代行いたします。
すどう社労士事務所の強み
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- 地域密着型の専門体制:越谷市・さいたま市・春日部市・草加市・川口市を中心に、埼玉県全域で豊富なサポート経験がございます。
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- 年間相談件数250件超えの実績:積み重ねたノウハウで、初診日特定が難しいケースや複数の障害(麻痺と失語症など)が重なる複雑な案件にも対応いたします。
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- 話しやすい女性相談員が在籍:失語症でご本人様がうまく思いを伝えられない場合でも、ご家族様から丁寧かつ親身にお話をお伺いします。
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- 納得のサポート料金:着手金や相談料に関するご心配を減らし、安心してご依頼いただける体系を整えています。サポート料金はこちら
すどう社労士事務所の受給事例はこちらをご覧ください。
事務所のロゴマークであるミモザの由来についても、ぜひご一読ください。
9. よくある質問
Q1. 脳梗塞の後、手足の麻痺は治りましたが、失語症だけでも障害年金は申請できますか?
失語症(音声又は言語機能の障害)単独でも、日常生活や就労におけるコミュニケーションに著しい支障が出ている場合は、障害年金の支給対象となります。
Q2. 失語症で本人が電話をかけたり書類を書いたりできません。家族が代わりに相談してもよいですか?
失語症の性質上、ご本人様からのご相談や手続きが困難なケースが多いため、ご家族様からの代理相談を大歓迎しております。書類の作成や行政窓口とのやり取りも社労士がすべてサポートいたします。
Q3. 脳梗塞の初診日から1年6ヶ月経っていませんが、申請の準備を始めてもよいでしょうか?
脳血管疾患による失語症の場合、リハビリを行ってもこれ以上の改善が見込めないと医師が判断(症状固定)すれば、初診日から6ヶ月経過した時点で特例として申請できる可能性があります。
Q4. 言葉だけでなく、物を飲み込みにくい症状(嚥下障害)もあります。評価されますか?
「音声又は言語機能の障害」用の診断書には、「そしゃく・嚥下機能の障害」を記載する項目もあります。両方に障害がある場合は総合的に評価され、認定において有利になる可能性があります。
Q5. 自分で申請するのと社労士に頼むのとでは何が違いますか?
10. まとめ
脳梗塞の後遺症による失語症は、外見からは分かりにくいものの、日々の生活や就労において大きな困難を伴う障害です。
要件を満たせば障害年金という大切なセーフティネットを受け取ることができます。
- 脳梗塞後の失語症は「音声・言語機能の障害」として障害年金の対象となる
- 手足の麻痺などがなくても、言語機能の障害単独で受給の可能性がある
- 働きながらであっても、勤務環境の配慮や実態次第で受給が認められるケースがある
- ご本人による書類作成が難しい場合は、早めに専門家やご家族にサポートを依頼することが成功の鍵
ご相談について
脳梗塞による失語症を発症すると、今まで当たり前にできていた「会話」や「文字の読み書き」が難しくなり、ご本人様はもちろん、支えるご家族様も大きな不安と負担を抱えることになります。
そのような状況下で、複雑な障害年金の申請手続きを進めるのは想像以上の困難を伴います。
すどう社労士事務所では、ご相談者様・ご家族様の状況に応じた具体的な進め方について、無料相談で個別にご案内しています。
言葉のやり取りに不安があるご本人様に代わって、ご家族からのご相談も大歓迎しております。
どんな小さな疑問でも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
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監修者
障害年金専門社労士として、さいたま市・越谷・春日部・草加市・川口市を中心に、埼玉県全域で年間250件超えのご相談を受けている。
うつ病・がん・脳血管障害・心疾患など、幅広い傷病の障害年金申請をサポート。
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