脳梗塞後の高次脳機能障害で障害年金はもらえる?【社労士が解説】
脳梗塞の後遺症で生じる高次脳機能障害で障害年金を受給できるか分かりやすく解説します。
記憶障害や注意障害などは外見から分かりづらいものの、受給要件を満たせば障害年金の支給対象となります。
障害等級の基準、2026年度の受給額、認定日の特例、申請手順、審査で失敗しないための重要ポイントまで障害年金専門の『すどう社労士事務所 須藤智(すどうさとし)』が徹底解説します。
脳梗塞の後遺症として発症した「高次脳機能障害」は、障害年金の支給対象です。
手足の麻痺などの身体的な障害だけでなく、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、情緒の不安定さといった高次脳機能障害によって日常の生活や労働に支障が出ている場合、受給要件(初診日要件・保険料納付要件・障害認定日要件)を満たしていれば障害年金を受給できる可能性があります。
この記事が向いている方
- 脳梗塞の後遺症で物忘れや注意力の低下があり、以前のように働けなくなった方
- 高次脳機能障害と診断されたが、身体麻痺が軽いため障害年金の対象になるかわからない方
- 家族が脳梗塞で倒れ、退職後の生活費や医療費に大きな不安を感じている方
- 脳梗塞の発症から6ヶ月以上経過し、リハビリを継続しているものの症状が残っている方
- 高次脳機能障害での障害年金申請手続きや、医師への診断書依頼のコツを知りたい方
- 埼玉県(さいたま市・越谷市・春日部市・草加市・川口市周辺)で脳血管障害や障害年金に強い専門社労士を探している方
この記事の目次
- 脳梗塞後の高次脳機能障害でも障害年金は受給できる?
- 高次脳機能障害で障害年金を受給するための「3つの基本要件」
- 高次脳機能障害における障害等級(1級〜3級)の認定基準
- 【2026年度】高次脳機能障害で受け取れる障害年金の金額目安
- 脳梗塞特有の「初診日」と「障害認定日の特例(6ヶ月特例)」
- 高次脳機能障害で障害年金を申請する5つのステップ
- 高次脳機能障害の申請で失敗しないための3つの重要ポイント
- すどう社労士事務所のサポート体制と実績
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
1. 脳梗塞後の高次脳機能障害でも障害年金は受給できる?
脳梗塞を発症すると、手足の運動麻痺や言語障害だけでなく、脳の損傷部位によって思考・記憶・注意・言語などの高度な脳機能に障害が生じる「高次脳機能障害」が遺遺症として現れることがあります。
「身体の麻痺が軽度なら障害年金はもらえないのではないか」と思われがちですが、高次脳機能障害自体が独立した障害として障害年金の対象として認められています。
1-1. 高次脳機能障害の主な症状例
高次脳機能障害は、外見からは症状が分かりにくいため「見えない障害」とも呼ばれます。具体的には以下のような症状がみられます。
- 記憶障害:新しい出来事を覚えられない、約束や予定を忘れてしまう、少し前の話が思い出せない
- 注意障害:集中力が長続きしない、二つの作業を同時にできない、ミスが急激に増えた
- 遂行機能障害:段取りを立てて作業が進められない、指示されないと行動できない、計画変更に対応できない
- 社会的行動障害:感情のコントロールが効かず怒りっぽくなった、欲求を抑えられない、意欲が湧かず無関心になる
これらの症状によって「今まで通りの仕事ができない」「家事や身の回りのことに家族のサポートが必要」という状況であれば、障害年金受給の可能性が十分にあります。
2. 高次脳機能障害で障害年金を受給するための「3つの基本要件」
脳梗塞による高次脳機能障害で障害年金を申請するためには、公的年金制度が定める以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
要件①:初診日要件
脳梗塞の症状(手足のしびれ、めまい、意識障害など)で初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していることが必須です。
要件②:保険料納付要件
初診日の前日において、初診日がある月の前前月までの加入期間のうち、3分の2以上保険料を納付(または免除)しているか、直近1年間に未納がないことが求められます。
要件③:障害認定日要件
原則として初診日から1年6ヶ月が経過した日(障害認定日)、または脳血管障害の「症状固定(6ヶ月特例)」の時点で、定められた障害等級に該当している必要があります。
3. 高次脳機能障害における障害等級(1級〜3級)の認定基準
障害年金の審査では、高次脳機能障害によって「日常の生活にどれほどの制限が生じているか」「仕事においてどのような援助が必要か」が重点的に審査されます。
| 障害等級 | 状態の目安(高次脳機能障害の場合) | 対象となる年金 |
|---|---|---|
| 1級 | 日常生活に著しい制限があり、記憶障害や行動障害のため常時だれかの援助・見守りが必要な状態(自立した生活が不可能) | 障害基礎年金 障害厚生年金 |
| 2級 | 日常生活に著しい制限を受け、一人での生活が著しく困難な状態。限られた単純作業以外の就労が困難、または職場や家族の手厚い配慮が必要な状態 | 障害基礎年金 障害厚生年金 |
| 3級 | 日常の身の回りのことは概ねできるが、記憶・注意障害により職種が限られたり、業務量の軽減やサポートを受けなければ就労が困難な状態 | 障害厚生年金のみ |
※初診日に「国民年金」に加入していた場合は1級または2級のみが対象となります。「厚生年金」に加入していた場合は3級でも障害厚生年金を受給できる可能性があります。
4. 【2026年度】高次脳機能障害で受け取れる障害年金の金額目安
障害年金の給付額は、初診日に加入していた年金の種類(国民年金または厚生年金)、認定される障害等級、および養育しているお子様や配偶者の有無によって決まります。
4-1. 障害基礎年金(初診日に自営業・主婦・学生など国民年金へ加入)
- 1級:年額 1,059,125円(月額 約8.8万円)+ 子の加算
- 2級:年額 847,300円(月額 約7.0万円)+ 子の加算
4-2. 障害厚生年金(初診日に会社員・公務員など厚生年金へ加入)
障害厚生年金の場合は、障害基礎年金(1級・2級)に上乗せして、会社員時代の標準報酬月額や加入期間に応じて計算される「報酬比例の年金」が支給されます。
- 1級:障害基礎年金1級 + 報酬比例の額(1.25倍)+ 配偶者加給年金
- 2級:障害基礎年金2級 + 報酬比例の額 + 配偶者加給年金
- 3級:報酬比例の額(最低保障額:年額 635,500円)
※公的障害年金による給付は原則として非課税です。
所得税や住民税がかからないため、受け取った金額をそのまま生活費や療養費用に充てることができます。
5. 脳梗塞特有の「初診日」と「障害認定日の特例(6ヶ月特例)」
脳梗塞などの脳血管障害による高次脳機能障害の申請では、一般的な病気とは異なる重要なポイントが2つあります。
5-1. 障害認定日の特例(6ヶ月経過後の症状固定)
障害年金は通常、初診日から1年6ヶ月経過した「障害認定日」以降でなければ申請できません。
しかし、脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)の場合は例外として、初診日から6ヶ月以上経過した日以降に医学的に「症状固定(これ以上リハビリを行っても改善が見込めない状態)」と診断された場合、その日を障害認定日として繰り上げて申請できる特例があります。
5-2. 初診日は「脳梗塞で最初に受診した日」
高次脳機能障害の診断を受けた日ではなく、その原因となった「脳梗塞で救急搬送された日」や「最初に医師の診察を受けた日」が初診日となります。
最初に受診した病院と、現在リハビリや高次脳機能障害の経過観察を行っている病院が異なる場合は、最初の病院で「受診状況等証明書」を取得する必要があります。
6. 高次脳機能障害で障害年金を申請する5つのステップ
手続きは段階を踏んで正確に進めることが成功の鍵となります。
焦らず順序立てて準備を進めましょう。
初診日の確定と年金納付要件の確認
脳梗塞で最初に受診した医療機関を特定し、年金事務所で初診日時点の保険料納付要件を満たしているか確認します。
初診日の証明書(受診状況等証明書)の取得
初診時の医療機関で「受診状況等証明書」を発行してもらいます(初診病院と現在の病院が同じ場合は不要です)。
主治医へ診断書の作成依頼
リハビリ科や脳神経外科、精神科などの主治医に障害年金専用の診断書作成を依頼します。
日常の困難さを具体的に伝えることが重要です。
「病歴・就労状況等申立書」の作成
脳梗塞の発症から現在までの経過、リハビリの状況、家庭や職場での具体的な支障や困りごとを本人の視点(または家族)で細かく記載します。
年金事務所へ書類提出・審査
すべての書類を揃えて年金事務所に提出します。
提出後、約3ヶ月〜4ヶ月程度で日本年金機構より審査結果が通知されます。
7. 高次脳機能障害の申請で失敗しないための3つの重要ポイント
高次脳機能障害は病状の客観的な数値化が難しいため、提出書類の精度が受給の成否を大きく左右します。
診察時に「できること」だけを話してしまう
診察室では気を張って「大丈夫です」と答えてしまい、家庭や仕事場での本当の苦労(物忘れ、不機嫌、パニックなど)が主治医に伝わらず、実態より軽度の診断書が作成されるリスクがあります。
肢体障害の診断書だけで申請してしまう
脳梗塞の場合、運動麻痺用の診断書(様式第120号の3)だけを作成し、高次脳機能障害(精神・神経系)の記載が漏れてしまうことがあります。
双方の症状がある場合は両方の診断書を提出する必要があります。
家族のサポートや職場の配慮が伝わっていない
「家族の書き置きや声かけでなんとか生活できている」「職場で単純作業に回してもらっている」といった実情を申立書等にしっかり反映しないと、「一人で問題なく生活できている」と判断される恐れがあります。
8. すどう社労士事務所のサポート体制と実績
すどう社会保険労務士事務所では、脳梗塞や脳出血の後遺症による高次脳機能障害をはじめ、様々な傷病での障害年金申請を専門にサポートしております。
すどう社労士事務所の強み
- 脳血管障害・高次脳機能障害の豊富な申請ノウハウ:複雑な初診日の特定や、症状固定のタイミング(6ヶ月特例)の見極めなど、専門性の高い判断を行います。
- 地域密着の安心感:越谷市・春日部市・草加市を中心に、埼玉県全域で年間250件を超えるご相談をお受けしています(JR南越谷駅・東武スカイツリーライン新越谷駅徒歩3分)。
- ご家族からのご相談に徹底対応:高次脳機能障害はご本人がご自身の症状を自覚しづらい(病識の低下)特徴があります。ご家族様からの丁寧な聞き取りを大切にしています。
- 分かりやすい料金体系:着手金やサポート費用に関するご不安を解消し、安心してご相談いただける体制を整えています。
すどう社労士事務所の受給事例はこちらをご覧ください。
事務所のミモザに込めた想いや由来についてはこちらでご紹介しております。
9. よくある質問
Q1. 身体の麻痺がほとんど残っていない場合でも高次脳機能障害で障害年金はもらえますか?
Q2. 本人に障害の自覚がなく、申請に消極的なのですがご家族だけでも相談できますか?
Q3. 脳梗塞で倒れてから6ヶ月しか経っていませんが申請できますか?
Q4. 高次脳機能障害の診断書は何科の医師に書いてもらえばよいですか?
Q5. 障害手帳(身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳)を持っていなくても申請できますか?
Q6. 退職してリハビリ中ですが、過去に遡って一括で年金を受け取る(遡及請求)ことはできますか?
10. まとめ
脳梗塞後の高次脳機能障害は、記憶障害や注意障害、遂行機能障害などによって生活や就労に大きな影響を及ぼす障害であり、障害年金の対象となっています。
- 高次脳機能障害は身体麻痺が軽度でも障害年金の支給対象になる
- 脳血管障害には初診日から6ヶ月経過以降の「症状固定」による障害認定日の特例がある
- 家庭での家族のサポートや職場での配慮の実情を正確に書類に反映させることが重要
- ご本人の病識が薄いケースも多いため、ご家族と協力しながら準備を進めるのがポイント
ご相談について
脳梗塞の発症後は、リハビリや日常生活の再構築に追われ、複雑な障害年金の申請手続きをご自身やご家族だけで進めるのは大きな負担となります。
「高次脳機能障害で年金がもらえるのか分からない」「医師にどう症状を伝えたらよいか困っている」など、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
すどう社労士事務所では、丁寧にお話をお伺いし、お一人おひとりの状況に応じた最適な進め方をアドバイスいたします。
ご家族からのご相談も大歓迎しております。
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監修者
障害年金専門社労士として、さいたま市・越谷市・春日部市・草加市・川口市を中心に、埼玉県全域で年間250件超えのご相談を受けている。
うつ病・がん・脳血管障害・心疾患など、幅広い傷病の障害年金申請をサポート。
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