知的障害の障害年金|1級・2級認定の目安【社労士が解説】

知的障害(精神遅滞)における障害年金の認定基準(1級・2級)をすどう社労士事務所 須藤 智(すどう さとし)がわかりやすく解説します。
IQ(知能指数)の目安や日常生活能力の判定ポイント、療育手帳との関係、働きながら受給できるかなど、申請に必要な重要知識を網羅しています。
埼玉県(越谷・春日部・草加・さいたま市東部)での無料相談や事例もあわせてご紹介します。

【結論】

知的障害(精神遅滞)による障害年金の認定(1級・2級)は、IQ(知能指数)の数値だけで決まるわけではありません。

数値上の指標となる「IQ」に加え、「一人でどれくらい生活できるか(日常生活能力)」や「職場・社会でのサポート状況」が総合的に審査されます。軽度知的障害とされる数値であっても、日常の不適応行動や二次障害がある場合は受給できる可能性が十分にあります。

この記事が向いている方

  • 知的障害のあるご本人や、20歳前後のご家族の障害年金申請を検討している方
  • IQの数値や療育手帳の区分(B判定など)で受給を諦めかけている方
  • 軽度知的障害(IQ51〜70程度)で障害年金2級の対象になるか知りたい方
  • 就労継続支援(A型・B型)や障害者雇用で働きながら受給できるか不安な方
  • 生まれてから現在までの「病歴・就労状況等申立書」の書き方がわからない方
  • 埼玉県(越谷・春日部・草加・さいたま市東部)で知的障害に強い障害年金の専門社労士を探している方

この記事の目次

  1. 知的障害の障害年金制度と認定の基本構造
  2. 認定の目安①:IQ(知能指数)と障害等級(1級・2級)の関係
  3. 認定の目安②:日常生活能力の判定基準とガイドライン
  4. 知的障害で受け取れる障害年金の受給額目安【2026年度】
  5. 障害者雇用や就労継続支援で「働きながら」受給は可能?
  6. 知的障害の障害年金申請で失敗しないための4つの重要ポイント
  7. 療育手帳の区分(A・B)と障害年金判定の違い
  8. すどう社労士事務所のサポート体制と実績
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ

1. 知的障害の障害年金制度と認定の基本構造

知的障害(医学的には精神遅滞と呼ばれることもあります)は、先天性または乳幼児期の発達期までに現れた知的機能の障害を指します。公的年金制度において、知的障害は原則として「20歳前障害」という扱いになります。

通常、病気やケガで障害年金を請求する場合は初診日(初めて医師の診療を受けた日)に年金保険料を納めていたかが厳しく問われます。しかし、知的障害は先天的な障害とみなされるため、初診日は「出生日(生まれた日)」と扱われます。

1-1. 20歳前障害基礎年金の特長

知的障害で請求する障害年金は、原則として「障害基礎年金」となります(※20歳以降に初めて知的障害以外の疾患で初診日がある場合などを除く)。

  • 初診日の証明(受診状況等証明書)が原則不要(出生日が初診日のため)
  • 20歳前の傷病であるため、初診日前の年金保険料納付要件が問われない
  • 20歳に達した時点(20歳の誕生日の前日)が障害認定日となり請求可能になる
  • 受給者本人の前年所得が一定基準を超えると、支給停止・半額停止になる所得制限がある

保険料を納めていない20歳前の段階で障害の状態にある方を救済する制度設計となっているため、満20歳を迎える時期に手続きを進めることが一般的です。

2. 認定の目安①:IQ(知能指数)と障害等級(1級・2級)の関係

障害年金の審査において、知能判定(IQ数値)は障害の程度を客観的に測る重要な指標の一つです。厚生労働省の「障害認定基準」におけるIQと等級の一般的な目安は以下のようになっています。

IQ(知能指数)の範囲 障害の程度分類 障害等級の目安
IQ 20以下 最重度 1級(または2級)
IQ 21〜35程度 重度 1級または2級
IQ 36〜50程度 中度 2級の可能性が高い
IQ 51〜70程度 軽度 原則非該当だが、生活支障や二次障害により2級の可能性あり

2-1. IQが軽度(51〜70)でも2級に認定される理由

審査でよく誤解されるのが「IQが50を超えていたら障害年金は絶対にもらえない」という説です。これは大きな間違いです。

実際の審査では、単なるIQの数値だけでなく、「他の発達障害(ASDやADHDなど)の併発」「感情コントロールの難しさや著しい不適応行動」「うつ病などの二次障害の有無」といった要素が考慮されます。社会生活を送る上で日常的な支援や配慮が不可欠であると認められれば、軽度知的障害でも障害年金2級が受給できる可能性は十分にあります。

3. 認定の目安②:日常生活能力の判定基準とガイドライン

知的障害の障害年金審査において、IQ以上に重要視されるのが「日常生活能力の程度」および「日常生活能力の判定」です。精神の障害認定ガイドラインに基づき、以下の7項目が診断書で総合評価されます。

① 適切な食事

栄養バランスを考えた調理、一人での用意、献立の考案などが一人で適切にできるか。

② 身のまわりの清潔保持

入浴、洗顔、着替え、部屋の掃除や整理整頓を清潔に保てているか。

③ 金銭管理と買い物

金銭の価値を理解し、計画的な金銭管理や一人での買い物が適切に行えるか。

④ 通院と服薬

決められた時間に正しく服薬し、定期的に一人で通院できるか。

⑤ 適切な意思伝達・対人関係

自分の意思や体調不良を伝える、他人との適切な距離感で関わることができるか。

⑥ 身辺の安全保持・危機対応

事故や危険から身を守る、火の始末や急なトラブルに対応できるか。

⑦ 社会性(手続き・公共施設利用)

役所の手続き、電車やバスの利用、社会ルールを守った行動ができるか。

3-1. 等級ごとの日常生活の制限度合

医師が診断書を作成する際、これらの項目について「できる」「援助があればできる」「助言や指導があってもできない」といった段階評価を行い、以下の基準に照らし合わせます。

  • 1級:身の回りのこと(食事・着替え等)に常時かつ全面的な援助が必要。自立した生活がほぼ不可能で、常に誰かの介護や見守りを要する状態。
  • 2級:家庭内での単純な行動は一人でできても、金銭管理、危険回避、社会的な手続きなどには随時援助が必要。一人暮らしは困難で、家族等のサポートが不可欠な状態。

4. 知的障害で受け取れる障害年金の受給額目安【2026年度】

知的障害で受給する障害基礎年金(20歳前障害)の年金額は、法律で一律に定められています。初診日に会社員として厚生年金に加入していた特別なケースを除き、基本的には以下の金額となります。

障害基礎年金 1級

年額:1,059,125円
(月額 約88,260円)
※生計を維持している子どもがいる場合は「子の加算」が上乗せされます。

障害基礎年金 2級

年額:847,300円
(月額 約70,600円)
※生計を維持している子どもがいる場合は「子の加算」が上乗せされます。

※障害年金は全額非課税です。所得税や住民税がかからないため、支給された額がそのまま生活費や福祉サービスの利用料として手元に残ります。

5. 障害者雇用や就労継続支援で「働きながら」受給は可能?

「仕事をして給料をもらっていると、障害年金は打ち切られますか?」「就労していると2級は無理ですか?」というご質問を非常に多くいただきます。

結論から申し上げますと、働きながらであっても知的障害で障害年金1級・2級を受給することは十分に可能です。

5-1. 就労形態と受給審査の傾向

審査では「働いているか否か」という結果だけでなく、「どのような環境で、どんな配慮を受けて働いているか」というプロセスの実情が重視されます。

就労形態 受給審査における配慮・評価のポイント
就労継続支援B型 福祉的就労であり、常時指導員の支援・保護を受けているため、日常生活能力の制限(2級以上)が認められやすい傾向にあります。
就労継続支援A型 雇用契約を結びますが、福祉的な配慮下での就労であるため、実際の勤務制限や生活上の困難が証明できれば十分に受給可能です。
障害者雇用枠(一般企業) 専任の指導員がいる、業務内容が大幅に制限されている、勤務時間が短いなどの配慮実態を申立書等で客観的に証明することがカギとなります。
一般雇用(配慮なし) 援助なしでフルタイム勤務できていると見なされると厳しい場合がありますが、家族の過度なサポートで成り立っている実態があれば認められる例もあります。

6. 知的障害の障害年金申請で失敗しないための4つの重要ポイント

知的障害の障害年金手続きは、うつ病や身体障害の手続きとは異なる独特のポイントがあります。書類作成で失敗しないために、以下の4点を必ず押さえておきましょう。

1

「一人暮らしをした場合」の想定で診断書を書いてもらう

実家で親御さんが身の回りのこと(洗濯・食事・金銭管理・掃除)をすべて先回りして助けていると、主治医に「一人で何でもできている」と誤認されてしまうことがあります。「もし誰も助けてくれる人がおらず一人暮らしをしたら、何ができないか」という視点で普段の困りごとを医師に伝えることが非常に重要です。

2

病歴・就労状況等申立書は出生時から現在まで途切れなく書く

知的障害の場合、申立書は「出生時から現在まで」の様子を3年〜5年単位のブロックに分けて記載します。幼少期の成長の遅れ、特別支援学級での学習・生活の様子、職場での具体的な配慮などを漏れなく具体的に記載する必要があります。

3

発達障害や精神疾患の二次障害をしっかり併記する

軽度知的障害の方で、自閉スペクトラム症(ASD)やADHDの特性、二次障害としての「抑うつ状態」「適応障害」などがある場合は、診断書や申立書にその事実をしっかりと反映させます。複合的な生きづらさを証明することが認定への近道です。

4

20歳前の「障害認定日請求」の時期を逃さない

20歳を迎える3ヶ月前から診断書を作成してもらう準備を進め、20歳の誕生日の前日以降に速やかに年金事務所へ提出できるよう準備スケジュールを組みましょう。

7. 療育手帳の区分(A・B)と障害年金判定の違い

よく寄せられるご質問に「療育手帳がB2(軽度)だと、障害年金は申請できませんか?」というものがあります。

結論として、療育手帳の等級と障害年金の等級は完全には連動していません。

  • 療育手帳(愛の手帳・みどりの手帳など):自治体(都道府県・指定都市)が判定・交付する福祉手帳。主にIQ数値や自立度で区分されます。
  • 障害年金:国(日本年金機構)が判定・支給する公的年金。IQに加えて労働制限や家庭での援助度合いを重視します。

そのため、「療育手帳がB判定であっても障害年金2級が受給できたケース」や、逆に「療育手帳がA判定であっても就労状況等により下位等級となるケース」が存在します。手帳の区分だけで諦めず、専門家へ診断書の内容をご相談いただくことを推奨いたします。

8. すどう社労士事務所のサポート体制と実績

すどう社会保険労務士事務所では、埼玉県越谷市・春日部市・草加市を中心に、知的障害や発達障害をはじめとする障害年金の申請サポートを専門に行っております。

すどう社労士事務所の強み

  • 地域密着の丁寧な対面・オンライン相談:JR南越谷駅・東武スカイツリーライン新越谷駅から徒歩3分の好立地。ご家族様のみでのご相談も大歓迎です。
  • 年間250件超えの豊富な相談実績:知的障害の申請でポイントとなる「出生時からの申立書作成」や「主治医への参考資料作成」ノウハウを蓄積しています。
  • ミモザの花に込めた想い:感謝・思いやりを象徴するミモザのように、ご家族様の不安にどこまでも寄り添う温かいサポートを徹底しています。(当事務所のミモザの由来はこちら
  • 明朗な安心料金体系:ご家族の負担を減らすため、明確でわかりやすい費用体系を設定しています。(詳しいサポート料金はこちら
  • 選ばれる理由:埼玉県全域で多くのご家族様からご信頼いただいている理由は選ばれる理由ページをご覧ください。

すどう社労士事務所の詳しい知的障害等の受給事例については受給事例ページをご参照ください。

9. よくある質問

Q1. 知的障害の障害年金はいつから申請できますか?
A. 知的障害は20歳前障害に該当するため、20歳の誕生日の前日(障害認定日)から手続きが可能です。20歳を過ぎてからでも、過去に遡って請求(遡及請求)したり、現在の状態をもとに請求(事後重症請求)したりすることができます。
Q2. 軽度知的障害(IQ51〜70程度)でも受給できる可能性はありますか?
A. はい、可能性はあります。単なるIQの数値だけでなく、コミュニケーションの困難さ、対人トラブル、行動異常、二次障害(うつ病や不適応)の程度、就労における手厚いサポートの有無などが考慮され、2級に認定されるケースがございます。
Q3. 療育手帳がB判定(軽度・中度)の場合、障害年金は無理ですか?
A. 無理ではありません。療育手帳と障害年金は審査機関も認定基準も異なります。手帳がB判定であっても、日常生活で家族の援助が随時必要であることを客観的に証明できれば2級を受給できる事例は数多くあります。
Q4. 就労継続支援B型に通いながら障害年金をもらえますか?
A. はい、受給できる可能性が高いです。就労継続支援B型での就労は福祉的支援を受けている状態と判断されるため、障害年金2級の認定において有利な事情として考慮されます。
Q5. 病歴・就労状況等申立書は生まれた時から書かないといけませんか?
A. 原則として、知的障害の場合は出生時から現在までの経過を記載します。「乳幼児期」「小学校」「中学校」「高校」「就労・現在」のように時期を分けて、発達の状況や受けてきた配慮を具体的にまとめていきます。社労士にご依頼いただければ聞き取りをもとに作成を代行いたします。
Q6. 本人に障害の自覚がなく、病院の受診を嫌がる場合はどうすればいいですか?
A. ご家族様だけで抱え込まず、まずは専門家や地域の相談支援事業者にご相談ください。まずは受診のきっかけ作りや、医師へ日常生活の困りごとを伝えるためのメモ作成などをアドバイスさせていただきます。
Q7. 社労士に相談するタイミングは20歳になるどれくらい前が良いですか?
A. 20歳の誕生日の3ヶ月〜6ヶ月ほど前からご相談いただくのがベストです。診断書の発行や、出生時からの長い申立書の作成には一定の準備期間が必要となります。

10. まとめ

知的障害(精神遅滞)における障害年金1級・2級の認定基準について重要な要点を整理します。

  • 知的障害の認定は「IQ数値」と「日常生活能力(周囲の援助度)」の総合判定
  • IQ 35以下は1級・2級の可能性が高く、IQ 51〜70の軽度であっても生活支障や二次障害により2級の可能性あり
  • 障害基礎年金(20歳前障害)として支給され、初診日証明や保険料納付要件は原則不要
  • 障害者雇用や就労継続支援(A型・B型)で働きながらでも配慮実態があれば受給可能
  • 療育手帳がB判定であっても諦めずに、日常生活の援助実態を正確に診断書・申立書へ反映させることがカギ

ご相談について

知的障害のあるお子様が20歳を迎えるタイミングは、将来の生活設計やお金の不安が膨らむ時期でもあります。しかし、慣れない年金制度の手続きや、生まれた時から20年分の生活記録(病歴申立書)を作成するのは、ご家族様にとって非常に大きな負担となります。

「このIQで申請できるのだろうか」「診断書をどのように書いてもらえば良いか分からない」など、どんな小さな疑問でも構いません。すどう社労士事務所では、ご本人様・ご家族様の視点に立った親身な無料相談を行っています。ご家族様からのご相談も大歓迎ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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監修者

須藤 智(すどう さとし)
社会保険労務士 / すどう社労士事務所 代表(事務所概要はこちら

障害年金専門社労士として、越谷・春日部・草加市を中心に、埼玉県全域で年間250件超えのご相談を受けている。知的障害・発達障害・うつ病・がん・脳血管障害・心疾患など、幅広い傷病の障害年金申請をサポート。

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