心疾患と障害年金

心疾患とは

心疾患は、心臓や血管に関わる疾患の総称です。

 

心臓が収縮するリズムに狂いが生じる不整脈、心臓の筋肉の動きに問題が生じる心筋症、心臓と血管の間で血液の逆流を防ぐ役割の弁に問題が生じる弁疾患心不全、心臓の筋肉に栄養や酸素を運ぶ血管が詰まる虚血性心疾患などがあります。

 

いずれも全身に栄養や酸素を運ぶポンプの役割が阻害され、身体に様々な症状を引き起こします。

胸痛、呼吸困難、動悸、慢性的な疲労感、むくみなどが主たる症状で日常生活に大きな影響を及ぼします。

 

心疾患の基本的な特徴

胸痛と呼吸困難

特に冠動脈疾患では、心臓への血液供給が不十分になるため、胸の圧迫感や激しい痛み、息切れが生じることがあります。

 

動悸や不整脈

心拍数の乱れや異常なリズムが感じられる場合があり、これが不整脈として現れることがあります。

 

慢性的な疲労感と運動耐性の低下

心臓の機能低下により、日常の活動で容易に疲労を感じ、体力が低下することがあります。

 

むくみや体液貯留

心不全の症例では、血液循環の低下から手足や腹部にむくみが見られることがあります。

 

心疾患の発症には、複数の要因が複雑に絡み合っているとされています。

遺伝的な素因や加齢に伴う心臓や血管の構造変化、喫煙、過度のアルコール摂取、運動不足、

偏った食生活といった不健康な生活習慣もリスクを高めるといわれています。

 

心疾患の総患者数は約305万人とも言われており、日本の3大疾病の一つです。

 

心疾患に関する障害年金の認定基準

心疾患による障害年金の認定基準では、

  1. 呼吸困難、心悸亢進、尿量減少、夜間多尿、チアノーゼ、浮腫などの臨床症状
  2. X線や心電図の検査成績
  3. 一般状態、治療及び症状の経過等

上記を踏まえて総合的に判断、認定するものとされています。

 

心疾患で障害年金を受け取るためのポイント

心疾患による障害認定請求(申請)には、胸痛や動悸、息切れ等の自覚症状、チアノーゼ等の他覚所見、心電図、心エコーの検査結果等で、どのような部位にどのような異常がみられるかが重要なポイントになります。

 

そのため上記の項目をもれなく診断書に記載してもらう必要があります。提出する前に記載もれが無いか確認が必要です。

 

心電図の添付が必須になります。

 

更に、診断書には「一般状態区分」「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」という日常生活や就労にどの程度支障があるかを医師が判断し記載する項目があり、これも認定において重要視されます。

そのため、診断書を依頼するときは勿論、普段の診察の際もどのような不自由があるのか具体的な状況を医師に伝えておくことが大切です。

 

不安な方や疑問をお持ちの方は、まず専門家へご相談ください

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障害年金は不運にも、障害を負ってしまった方を経済的に支える非常に重要な制度です。
しかしながら、その制度や申請手続きはとても複雑で、申請までに半年や1年もかかってしまったり、申請自体をあきらめてしまう方も少なくありません。

初診日の要件や、等級に応じた申請書類(特に病歴・就労状況等申立書)の作成には、専門的な知識と経験が不可欠です。

 

「自分の場合はもらえるのだろうか?」
「症状を考えると、2級の可能性はないだろうか?」

 

そんな不安や疑問をお持ちの方は、当事務所の無料相談をご活用ください。
電話や実際にお会いして障害年金に関するご相談をお受けいたします。

 

また、ご自身での申請が難しい場合には、障害年金の申請代行も承ります。
お気軽にご相談ください。

 

           すどう社労士事務所   須藤 智

 

そもそも 障害年金とは?

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、

現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

 

障害者のための特別な手当や、事故や労災などによるケガでないと申請できない、と勘違いされている人もいますが、

実は老齢年金と同じ公的年金です。

 

もちろん心疾患も障害年金の対象傷病です。

 

障害年金の受給要件を満たしているのに、障害年金を申請しないというのは、

65歳になっても老齢年金を受け取っていないようなものなので、特別な事情のない限りは障害年金の受給をお勧めします。

障害年金を受け取るための条件

障害年金を受け取るためにはいくつかの条件を満たさなければなりません。
申請の前に、条件を満たしているか必ず確認しましょう。

①初診日要件

国民年金、厚生年金、共済年金へ加入していた期間中に、その障害の原因となった病気やケガを医師や歯科医師に診察してもらっていることが必要です。

 

この診察を初めて受けた日を「初診日」といいます。

 

健康診断で異常がみつかった日や、誤診を受けた日が初診日とみなされることもありますのでご注意ください。

②保険料納付要件

この保険料納付要件が満たされないと、一生この病気やケガを原因とする障害年金はもらえません。

 

初診日の前日に、その初診日のある月の前々月までの期間の3分の2以上が、次のいずれかの条件に当てはまっている必要があります。

保険料を納めた期間(会社員や公務員の配偶者だった期間も含む)
保険料を免除されていた期間(全部免除、一部免除)
保険料納付猶予期間(学生納付猶予など)
合算対象期間(いわゆるカラ期間)

 

20歳以降初診日の前々月までの被保険者であった期間のうち、3分の1を超える期間の保険料が未納でなければ大丈夫です。

実際に保険料を納めていた期間だけでなく、正式に保険料が免除されていた期間も、納めていたものとして扱われます。

 

上記の要件には当てはまらなくても、令和8年3月31日までに初診日がある場合は、

初診日の前日に、その前々月までの1年間に保険料の未納がなければ要件を満たすことができます。

(※20歳前の年金制度に加入していない期間に「初診日」がある場合は、納付要件は不要です)

③障害認定日の要件

障害年金を受けられるかどうかは、障害認定日に一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。

 

障害認定日とは、初診日から1年6か月が経過した日か、1年6か月が経過する前に症状が固定し、それ以上治療の効果が期待できない状態となった日のことです。

 

例外
下記の状態になった場合も障害認定日として扱われます。

 

  • 咽頭全摘出・・・摘出した日
  • 在宅酸素療法・・・常時使用を開始した日
  • 人工透析をしている場合・・・人工透析開始から3ヶ月を経過した日
  • 心臓ペースメーカー、人工弁、CRT、心臓移植、人工心臓を装着(移植)した場合・・・装着(移植)した日
  • 人工肛門造設、尿路変更術・・・造設日(手術日)から起算して6か月経過した日
  • 新膀胱・・・造設した日
  • 遷延性植物状態・・状態に至った日から3か月を経過した日
  • 人工骨頭、人工関節を挿入置換した場合・・・挿入置換した日
  • 手足の切断の場合・・・切断された日
  • 脳梗塞、脳出血による肢体障害の場合・・・初診日から6ヶ月以上経過後の医師が症状固定と判断した日

 

この障害認定日に一定の障害状態にあると認められると、その翌月から年金が支給されます。
これを、障害認定日請求と呼び、もし請求が遅れても最大5年遡って支給されます。

 

そのほか、障害認定日に障害の状態が軽かったとしても、のちに悪化する場合もあります。
この時は「事後重症請求」という形で申請することも可能です。

 

詳しくはこちらをご覧ください。

④受給できるのは原則20歳から64歳まで

障害年金は原則20歳から64歳までの人が受給できます。

 

65歳以上は老齢年金と障害年金のどちらかを選択するか、

または併給調整がかかり、最終的にもらえる金額が変わらない場合があるため注意が必要です。

 

65歳以上の方はこちら

精神疾患の認定基準

障害年金を受け取るためにはそれぞれの傷病の「認定基準」を超えていることが重要となります。

精神疾患の「認定基準」は以下のように示されています。

 

 

これを簡単なイメージで表すと

1級:常時の介助が必要で、日常生活が自力で行えない状態。
2級:日常生活に著しい制限があり、労働ができない状態。
3級(厚生年金のみ):労働に著しい制限が必要な状態。

となります。

またこの障害の状態にあるのは初診日から1年6か月経過した日(認定日)であることが必要です。

 

『精神の障害に係る等級判定ガイドライン』

うつ病などの精神疾患は検査数値など客観的な基準を設けにくいため、認定する医師によって等級判定に差が出てしまう場合があります。

そのため、精神疾患に関して、認定基準のほか、ある程度客観的な基準を定めた等級判定ガイドラインが新設されました。

 

このガイドラインは、診断書裏面にある「日常生活能力の判定」を数値化して出した7項目の平均値と「日常生活能力の程度」をそれぞれ下記の表にあてはめて、障害等級1級~3級の判断を行います。

(※ガイドラインはあくまで目安となっています。)

 

「日常生活能力の平均判定」の算出方法

診断書裏面にある『日常生活能力の判定』を数値化して出した7項目の平均値です。

それぞれの項目には4つの段階が示されていますが、

比較的、日常生活に支障がないものを1、日常生活に支障が大きいものを4として、合計を7で割って算出します。

 

「日常生活能力の程度」の算出方法

診断書裏面にある「3日常生活能力の程度」のことです。5段階評価のどれに該当するのかを医師が判断します。

 

等級判定にあたっての注意点

ガイドラインには「留意事項」として下記のような文言が記載されています。
これをまとめると、ガイドラインが参考にできない場合は診断書などに基づいて総合的な判断がなされるということです。

【「日常生活能力の程度」の評価と「日常生活能力の判定」の平均との整合性が低く、参考となる目安がない場合は、必要に応じて診断書を作成した医師に内容確認をするなどしたうえで、「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」以外の診断書等の記載内容から様々な要素を考慮のうえ、総合評価を行う。】

 

ガイドラインは障害年金の申請上、大切な指標ですが、あくまで目安とされており、このガイドラインだけで支給・不支給が決定されるわけではないことに注意が必要です。

 

障害年金を受け取るためのポイント

診断書に日常生活が適切に反映されているか確認しましょう

障害年金の申請には診断書が非常に重要となってきます。

障害年金を受給できるか、できないかの9割が診断書で決まるといっても過言ではありません。

 

ですが、医師は病院で受診をした際の状況で症状の状態を判断しているため、普段の生活状況を加味して診断書を書くことが非常に困難です。

また、うつ病などの精神疾患の場合には比較的体調の良い時に病院に行く傾向があるため、実際の状態よりも軽い症状として診断書を書かれてしまう場合があります。

 

診断書を書いてもらう際にはご自身の普段の生活状況など、医師から見えない範囲の生活状況も適切に反映されているかを確認しましょう。

初診日がいつかを確認しましょう

初診日の確認は障害年金の申請上、細心の注意が必要な作業です。
特に、精神疾患の場合、精神科の前に、頭痛や不眠といった初期症状で内科を受診している場合があります。

 

この時、初診日は精神科を受診した日ではなく、内科を受診した日となります。

初診日がいつかによって障害年金を受け取れなくなってしまったり、逆に受け取れるようになる場合もあるため、初診日は正確に把握するようにしましょう。

働いていても障害年金は受給できます

「働いていると障害年金は申請できないですか?」といった質問や、

既に受給している方からは「働いたら年金は支給停止になりますか?」といった疑問はよく耳にします。

 

ですが、障害年金を受け取るに当たって、「働いている」という事実だけで、不支給となることはありません。
不支給や支給停止になるケースはいずれも、実際の就労状況に左右されます。

 

障害者雇用枠で働いていたり、軽作業のみを任せてもらっているなど、職場から特別の配慮を受けている、フルタイムや週5日勤務が難しいといった状況にあれば、働いていても障害年金3級を受け取れる可能性があります。
(※障害年金3級は厚生年金の加入者のみ対象です。)

 

なお20歳前傷病による障害基礎年金を受給している場合は、所得の金額により減額または支給停止になることもあるのでご注意ください。

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